
こんにちは!Dev HRのNarisaです!
2025年7月2日、CrossRelさん主催の「Knowledge Management Night - AI時代のナレッジマネジメント」が渋谷で開催されました。
当社VPoPの森(@diceK66)がパネルディスカッションに登壇し、現場でのリアルな課題感や、UPSIDERでの実践をもとに議論を交わしました。
当日のセッション内容をレポートとしてまとめましたので、ぜひご覧ください!
Knowledge Management Night - AI時代のナレッジマネジメントとは
今回の「Knowledge Management Night」は、生成AI時代におけるナレッジマネジメントの可能性と課題をテーマに、2つのセッションで構成されたイベントでした。
『Knowledge Management Night - AI時代のナレッジマネジメント』始まりました〜!
— たかなこ|Findy デザインマネージャー (@mrt_kanako) July 2, 2025
こちょうさん(@kocho_katsuhiko )とぱやさんの(@payatsun )のダブル司会
🎤🕺💃✨
今回、ファインディはスポンサーとしてご協力させていただいてます🙋#ナレマネナイト pic.twitter.com/jRueFLZZ7j
単なる事例紹介ではなく、「なぜナレッジは残らないのか?」「AIは知識の構造を変えるのか?」といった本質的な問いを軸に、実務と思想が交差するセッションが繰り広げられました。
UPSIDERからは、VPoPの森が登壇し、「プロダクト開発の現場で、どのようにナレッジを捉え直し、生成AIとともに仕組み化しているか」について、具体的な取り組みを紹介しました。
LTセッションでは生成AIの活用方法を3社が紹介
一つ目のセッション「LT」では、生成AIの活用に取り組む3社が登壇。日々の現場でどのようにAIを活かし、ナレッジと向き合っているのか——その実践がリアルに語られました。
株式会社ダイニー プロダクトデザイナー 滝沢 将也(@takizawave)さん

Taki(@takizawave)さんの発表では、Notion AIの導入をきっかけに、社内のナレッジ活用が劇的に進化した実例が紹介されました。
印象的だったのは、AIが正確に回答できるように、過去事例から「想定Q&A」を抽出し、“AI Readyなデータベース”を設計・整備していた点。 情報の量や質に加え、実践ベースの設計や運用に関するtipsが語られました。
ファインディ株式会社 デザインマネージャー 向 晃弘(@osk_kamui)さん

向さん(@osk_kamui)の発表では、 「ナレッジになれそうで、ならない情報」の代表として“フィードバック”に着目し、現場での課題と取り組みを紹介しました。 メンバーへの評価コメントや振り返りのメモなど、日々の現場で生まれては流れていくフィードバックを、Notion上でタグ整理しながら蓄積。
「今はAIがそれを引き上げてくれる時代だからこそ、とりあえず貯めておく」——そんな発想が、ナレッジ活用の第一歩になるとのこと。 記録と再活用を前提とした設計が、AI時代の新しいナレッジマネジメントの形を示していました。
Notion Labs, Inc. Solutions Engineer 早川 和輝(@kzkHykw1991)さん

早川さん(@kzkHykw1991)は「AI×ナレッジ活用」をテーマに、Notion AIがなぜ現場で使われるのかを、機能と思想の両面から紹介しました。 会議の文字起こしと要約やリサーチモードといった“日常業務の延長”で使える設計や、さらにAI検索やMCP(Model Context Protocol)などをデモで実演。
ユーザーの声をもとに改善されていくNotionの魅力を目の当たりにするLTでした。
資料もNotionで公開されているようなので、ぜひご覧ください!
パネルディスカッション|AI時代のナレッジマネジメントの実践

イベント後半では、
- モデレーター:株式会社エクスプラザ 生成AIエバンジェリスト・AIプロデューサー 宮田 大督(@miyatti)さん
- パネネリスト:
- 株式会社カカクコム AIトランスフォーメーション推進部 部長 川口 大志さん
- 株式会社UPSIDER UPSIDER AI経理事業責任者 VPoP 森 大祐(@diceK66)
が登壇し、テーマは「AI時代のナレッジマネジメントの実践」。 各社が取り組んできた具体事例、導入時に直面した壁、そしてこれからの展望まで、現場でのリアルな声が交差するセッションとなりました。
1️⃣ 登壇者紹介と各社の事例|ナレッジは「人のため」から「AIのため」へ
最初は、各社がどのようにナレッジ活用とAI導入を進めてきたか、概要を紹介しました。
カカクコム(川口 大志さん):プロジェクトマネジメントそのものをAI化。 全社的なAI活用推進に向けて「AIトランスフォーメーション推進部」を設立後、業務のアクティビティログをもとに、AIが状況を把握し、次のアクションを示唆する仕組みを構築中。ナレッジはもはや「誰かのため」ではなく、「AIが仕事をするため」の前提条件になりつつあるという捉え方が印象的でした。
当社 UPSIDER(VPoP森):UPSIDER AI経理での事例を紹介。 オペレーションのナレッジを「人を動かすコード」として捉え、再現性のあるオペレーションの設計を重視した実務環境を紹介しました。AIを活用したコーディングやドキュメント管理で生まれる“スパゲッティ化したナレッジ管理”から脱却するため、Markdown+GitHub+社内マニュアルサイトを組み合わせた“構造化”されたナレッジ運用への移行について紹介しました。
2️⃣ 導入前の課題と取り組み|“活用できるナレッジ”への転換
次に語られたのは、導入前にあった課題と、その克服のプロセス。
カカクコムさんでの課題は、プロジェクトマネージャーとメンバー間の「見えている世界のズレ」が生産性の障壁となっていたこと。タスクや進捗に対する認識の不一致がマイクロマネジメントを生み、レビュー以前に無駄な確認が発生していたと言います。
これに対して、個人の活動ログを集約・要約し、AIが「今やるべきこと」を指示する構造を整備。報酬設計として「週報が不要になる」と伝えることで、自然な導入を実現したとのことです。
次にUPSIDERでは、Notionを活用することで運用ハードルが下がる一方で、誰でも自由にマニュアルを編集できることから、ドキュメントが”スパゲッティ化”して、複雑になっていた課題を紹介しました。
解決のために、ナレッジをMarkdown+GitHubでコード管理し、社内マニュアルサイトで展開する運用へとシフトしました。導入当初は、オペレーションを担当する”ビジネス職”のメンバー含めてGitを扱う壁に苦戦したものの、説明会やオンボーディングを通じて、ノンエンジニア層も、CursorでのGit操作を習得。最近ではDevinも活用しています。
結果として、エンジニアだけではなく、アルバイトのメンバーもコミットできるようになりました。
3️⃣ 現状の課題と未来の展望|意思決定は誰の仕事か?

このパートでは、現在の課題とこれからの展望が語られました。
カカクコムさんでは、今後の進化として「アクティビティ単位で自動的にワークフローが生成される世界」を描いているそうです。人がメタデータを手入力する運用は持続不可能であり、AIが自ら分類・整理・棚卸しを行う仕組みに移行すべきだという強いメッセージが印象的でした。
UPSIDERでは、AIが高速で動く世界において、AIの処理の合間にある“人間の意思決定”がボトルネックになり得る課題を共有しました。
人が意思決定したものをAIが判断するために、これまでの判断のログを溜め、自動化できるよう再構築を進めています。
「人間ができるだけ意思決定をしなくても業務は回る世界」の実現を目指し、それを通じて「人は意思決定しないが、責任を取る存在」へと役割を変えていく必要性を語りました。
宮田さんからは、このような未来像に対して、「人が不要になる」のではなく、「人が創造性を発揮する余白が生まれる」との視点が提示されました。ナレッジとAIが判断を代替することで、人はようやく「考えること」に集中できる。まさに、役割の再定義が始まっているという実感を共有いただきました。
セッションを通じて|ナレッジの本質は「判断の設計」

今回のイベントを通して浮かび上がったのは、ナレッジマネジメントの重心が「記録」から「設計」へと移っているという事実です。
各社の実践に共通していたのは:
- 人の意思決定を減らし、AIに委ねられるような構造を作ること
- そのための情報設計・ルール化・ログ蓄積といった地道な仕組みづくり
- そして、そうした環境の中で、新たな人の可能性や創造性を発揮できるということ
AI活用時代のナレッジマネジメントとは単なる情報の蓄積や可視化ではなく、「誰が、どの判断を、どこで、しなくていいように設計するか」という“判断構造の再設計”そのものだということ。そんな実践の現在地と、AIとの共進化の兆しが浮き彫りとなったイベントでした。
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