こんにちは、Dev HRのNarisaです。
2025年8月27日(水)テックタッチ社とailead社の共催で開催された「AI×PdM Vol.2」では、AIを活用したプロダクト開発の最前線をテーマに、当社VPoPの森が「PdMが推進するAI活用・ユースケースを語る」と題したセッションに登壇しました。
本セッションには、株式会社エクスプラザ CPO/生成AIエバンジェリスト 宮田 大督 氏、株式会社ログラス 執行役員CPO 斉藤 知明 氏、そして株式会社UPSIDER VP of Product/AI事業責任者 森 大祐の3名が登壇。
PdMの役割がAIによってどのように変化しているのか、また具体的なユースケースや課題感について熱く議論が交わされました。
登壇者紹介(イベントページより引用)
宮田 大督 / 株式会社エクスプラザ CPO/生成AIエバンジェリスト
慶應義塾大学大学院修了。NTTコミュニケーションズ、メルカリ、エクサウィザーズ、Gaudiyなど多様なサービスでのPdM経験を経て、2025年に株式会社エクスプラザにCPOとして入社。新規サービス立ち上げやプロダクト組織マネジメントなど、15年以上のPdM経験を持つ。生成AI×PdM領域に特化し、企業の生成AI導入支援および社会全体への生成AIに関するエバンジェリスト活動として活用法などの発信や登壇を行っている。
斉藤 知明 / 株式会社ログラス 執行役員CPO
東京大学在学時にAI研究に従事、動画像を対象としたDeepLearningの研究でICME2016に論文が採択される。在学中同時に英単語アプリmikanを共同創業し、CTOとして従事。その後Fringe81株式会社(現Unipos株式会社)に入社、ピアボーナスサービスUniposを立ち上げ子会社化、代表に就任、グロースさせたのち親会社と合併。「すべての挑戦が報われる社会に」を個人ミッションとしログラスに参画。
森 大祐 / 株式会社UPSIDER VP of Product / AI事業責任者
新卒で株式会社ワークスアプリケーションズに入社後、会計システムを中心として、大手企業のERP、業務システムの開発をリード。いくつかのキャリアを経て、PKSHAグループにて複数のAI SaaSを立ち上げ、それらのプロダクト企画統括執行役員を務める。2023年に株式会社UPSIDERに入社し、VP of Productを務める。
PdMが推進するAI活用・ユースケースを語る
本セッションで、AI時代のPdMに求められる役割と具体的なAI活用方法に焦点を当て、各登壇者の経験に基づく深い洞察が語られました。
1. AI時代にPdMは何をするべきか?
森は、AIがもたらす変化の中でPdMの役割は「AIの強みと弱みを理解し、それをプロダクト開発にどう活かすか」という戦略的な視点にシフトすると述べました。AIは万能ではなく、得意なこと(パターン認識、大量データ処理など)と苦手なこと(倫理的判断、複雑なコンテキスト理解など)を明確に区別し、人間が介入すべきポイントを判断することが重要です。
これに対し斉藤氏は、AI時代には「意思決定を『AIに任せる部分』と『人間が責任を持つ部分』に明確に分けること」が不可欠だと強調しました。AIが膨大なデータを分析して最適な解を提示したとしても、最終的な判断を下しその結果に責任を持つのは人間であるべきだと指摘しました。
続いて宮田氏は、AI時代のPdMには従来以上に幅広いスキルセットが求められると語りました。もはや単なる職能ではなく、エンジニアリング・デザイン・業務知識を横断してAIを“使いこなす”スーパーマン的な存在になる必要があると述べています。さらに、AIの成果を最大化するにはツールの特性理解に加えて、特定ドメインを深掘りするだけでなく水平(ホリゾンタル)のコンテキスト、例えば経理情報に市場データや他部門データを重ねる——を与える設計が重要であると話しました。
これにより出力品質やイノベーションの可能性が大きく広がるとし、依頼内容をそのまま受け取るのではなく初期段階から「最適解」を提示して推進する実行力もPdMには欠かせないと述べました。

2. AIを活用した具体的なユースケース
各社が取り組むAI活用の具体的な事例が共有されました。
株式会社UPSIDER(森)
UPSIDERでは、企業活動におけるお金の流れを最適化する「AI経理」を展開しています。カードトランザクションや請求書データをもとに、会計処理のパターンを学習し、税理士の承認を得た上で自動仕訳を提案するなど、人とAIの協業によって経理業務の負担を軽減しています。森は「これはAIに任せるべきか、人間がやるべきかをあえて明確に線引きせず、ユーザー価値を最大化できる方法を柔軟に選択している」と述べ、経済条件やコストを見極めながらAIと人の役割を最適化している点を強調しました。
株式会社ログラス(斉藤氏)
ログラスは、経営管理業務を支援するSaaSを提供し、データ可視化や予測機能にAIを活用しています。斉藤氏は「業務全体を広くカバーするのではなく、ローリングフォーキャストなど特定の業務に絞り込み、さらに経営企画や事業部などの担当者ごとに細分化して課題を解決していく」と説明しました。業務の入り口から出口までをシームレスにし、課題のセグメンテーションを明確にすることで、迅速な事業立ち上げを可能にし、2年で10件以上の新規プロダクト展開を実現しています。
株式会社エクスプラザ(宮田氏)
エクスプラザは、企業への生成AI導入支援や自社プロダクト開発を推進しています。宮田氏は「依頼内容をそのまま受け取るのではなく、本質的にAIをどう活用すれば最も良い成果が出せるかを初期段階で提示することを重視している」と語りました。また、自社の新規事業開発については「AIの特性を理解し、どこで活かせるかを見極めることが重要」とし、垂直的に業務を掘り下げるだけでなく、水平方向に複数のコンテキストを掛け合わせることでAIの力を最大化できると強調しました。
3. 議論の核心:AIと人間の協業の未来
セッション終盤では、AIと人間の協業の在り方について、より深い議論が交わされました。
森は、AIの登場によって「人間では処理しきれなかった膨大な意思決定や作業が可能になった」と話しました。その一方で、従来のように個別の課題ごとにアナログな解決策を考えるアプローチでは属人化してしまうため、「課題を構造化し、システム志向で解決することが重要だ」と指摘。さらにプロダクト開発においては、特定の業務課題を垂直に深く掘り下げるだけでなく、価値や仮説のコンテキストを水平に広く持つことも欠かせないと述べました。垂直と水平の両方の視点を組み合わせることで、AIの能力を最大限に引き出し、再現可能で持続的な仕組みを構築できるとまとめました。
斉藤氏は、AIを「道具」として活かすためには、PdM自身が一定の技術リテラシーを持つことが欠かせないと語りました。エンジニアリングの知識を備えていれば、AIの出力が「なぜそうなったのか」を理解でき、より信頼性の高い意思決定に結びつけられると指摘。業務を構造的に分解し、AIに適した形で設計することがPdMの役割だと強調しました。
宮田氏は、最終的な意思決定の責任は常に人間にあるという立場を改めて示しました。そのうえで、AIはあくまで「意思決定を高速化する存在」であり、PdMはAIを活かすための思考力と実行力を持ってプロセスに組み込む必要があると説明。特に、垂直的な業務ドメインに加えて水平的な文脈を積極的に取り込み、AIの成果をより大きな価値につなげることが重要だと述べました。

まとめ
このセッションを通じて明らかになったのは、AIが単なる効率化ツールにとどまらず、意思決定や事業展開そのものを変える存在になりつつあるということです。登壇者の議論から、AI時代に求められるPdM像は次の3点に整理できます。
課題を構造化する力:アナログな属人的対応に頼るのではなく、課題を分解・体系化し、再現可能な仕組みとして落とし込む。
責任を持った実行力:AIの出力をそのまま受け取るのではなく、技術リテラシーを持って解釈し、人間が最終責任を担って意思決定につなげる。
学び続ける姿勢:進化の早いAIの特性を理解し、垂直に業務を深掘りしつつ水平に文脈を広げて、新しい価値を生み出す準備を怠らない。
森が語った「構造化とシステム志向」、斉藤氏が指摘した「リテラシーを持ったAI活用」、宮田氏が強調した「思考力と実行力を兼ね備えたスーパーマン的PdM像」。これらは方向性こそ異なりますが、最終的には人間が責任を持ちつつAIをどうデザインに組み込むかという一点に集約されました。
AIと人間の協業は、従来の業務効率化を超え、これまで不可能だったスピード感とイノベーションを生み出す可能性を秘めています。本セッションは、AI時代にPdMがどうあるべきかを考えるうえで、多くの示唆を与えてくれました。
おわりに
生成AIの進化は日進月歩で、その活用法は人や組織によって千差万別です。今回のセッションは、AIを業務やチーム運営にどう取り入れるかについてのリアルな実践例が詰まっており、これからAI活用を検討するPdMやプロダクト開発者にとって多くの示唆を与える時間となりました。 ご視聴いただいた皆さま、ありがとうございました! 本セッションを通じて少しでもご興味をお持ちいただけた方は、ぜひ株式会社UPSIDERのカジュアル面談にもお気軽にお越しください。
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