UPSIDER Tech Blog

週4回のヒアリングが実質24回に? AIを活用した課題発見プロセス

株式会社UPSIDER 支払い.com事業部 Product Manager 兼 事業責任者の伊東( @Ray2018Study )です。

先日、2025年8月6日に開催されたイベント「生成AI時代のPdM - 活用と未来戦略」に登壇させていただきました。ご参加いただいた皆様、そして運営の皆様、誠にありがとうございました!

当日は、「AIを使った新規サービス構築ヒアリングのスピード向上と品質向上」というテーマでお話しさせていただきました。本記事では、当日の発表内容を振り返りながら、私たちがどのようにAIを活用してユーザーヒアリングを進化させているのか、その内容を改めてご紹介させてください。

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ヒアリングは大変…その課題に、私たちはAIとどう向き合ったか

さて、やや唐突ですが、プロダクト開発において「1次情報」の重要性は言うまでもありません。しかし、そのためのユーザーヒアリングは、多くの課題を抱えています。

  • 準備に時間がかかる
  • 担当者によって品質に差が出る
  • そもそも実施回数が足りない

私たちのチームも例外ではなく、こうした壁に直面していました。そこで「この課題をAIでなんとかできないか?」と考えたのが、今回の取り組みの出発点です。

週4回が実質24回に?AIと共に目指したヒアリングの「量」と「質」の向上

AIの活用を本格化させた結果、ヒアリングプロセスにおいて具体的な成果が見え始めています。

  • 実施回数:これまで週4回が限界だったヒアリングを、擬似ヒアリングを含めて週に24回分に相当するインタビューとして実施可能になりました。
  • 品質: メンバーに依らず深掘りの量が増え、ヒアリングから得られる示唆が安定し、チーム全体の課題発見能力が向上しました。

では、どのようにしてこれを実現したのか。その鍵は、5つのAIのフェーズ別活用にあります。

鍵となったのは“5つのAI”。私たちが試した具体的な活用法

私たちのチームでは、ヒアリングのプロセスを「準備」と「実施」に分け、合計5つの役割でAIを使い分けています。

支払い.comで活用される5つのAI

そこで今回は、当日の発表でも特に反響が大きかった3つのAI活用法をピックアップしてご紹介します。

1. ユーザー調査ペルソナ作成AI―AIによるユーザー理解の深化

これは、ユーザーの基本情報(会社名、事業内容など)に加え、決算情報やプレスリリースといった公開情報までをAIにインプットし、その業界特有の課題やインサイトを持つ「AIペルソナ」を生成するものです。

重要なのは、経営者が抱えるであろうリアルな課題や、時には"愚痴"レベルの感情的なインサイトまでをAIに予測させること。これにより、ヒアリング前の準備時間を短縮するだけでなく、より質の高い仮説を持ってヒアリングに臨むことを目指しています。

この手法のポイント: 単に情報を整理させるだけでなく、ユーザーが抱えるであろう「感情」や「愚痴」のレベルまでAIに予測させ、解像度を上げることが重要だと考えています。これにより、ヒアリングの初期段階から、より本質的な対話への道筋を立てることができます。

2. 擬似ヒアリング実行AI―AIとの対話で圧倒的な仮説構築量・速度を実現

次に、先ほど作成したAIペルソナを“仮想のユーザー”として設定し、擬似的なヒアリングを何度も行います。週4回が24回分になったカラクリは、この擬似ヒアリングによる圧倒的な「量」の担保です。プレゼンでは、カスタムカー販売業者と整骨院グループという全く異なるペルソナで試した事例を紹介しましたが、それぞれ全く異なる資金繰りの課題が浮かび上がってきました。

この手法のポイント: このアプローチの最大の利点は、業界・業種に特化したAIが、質の高い“壁打ち相手”になってくれる点です。実際のユーザーに会う前に多様な角度から質問をぶつけることで、新たな観点や問題提起を引き出せます。これにより、仮説の構築→検証→改善というサイクルが加速し、ヒアリングの精度そのものを高めることに貢献しています。

3. ヒアリングサポートAI―AIによるリアルタイムの視点提供

実際のヒアリングの最中に、会話の内容と本来の目的をAIに入力することで、リアルタイムに「視点の抜け漏れ」や「追加の深掘り質問」の提案を受けるAIです。

あらかじめ「今回のヒアリングでは事業理解と資金繰り状況の2点を必ず検証する」といったゴールをAIに設定しておきます。そして実際のヒアリング中に会話の内容をインプットすると、AIがゴール達成のために聞き漏らしている観点や、さらに深掘りすべき質問をリアルタイムで提案してくれます。

この手法のポイント: これにより、担当者の経験値によらず、ヒアリングの品質を一定以上に標準化できます。経験の浅いメンバーでも、この"AIアシスタント"があれば、多角的な視点を持ってヒアリングを進めることが可能になるのです。

それでもAIは“銀の弾丸”ではない。私たちが大切にしている2つの心構え

セッションの最後では、私自身の戒めも込めて、AIを活用する上で最も重要だと考えている2つの注意点をお伝えしました。

1. 操られるな、操れ: 最も重要なのは人間の意志です。AIはあくまで強力なツールであり、最終的な意思決定は私たち人間が行うべきです。

2. 1次情報以外は信じない: AIとの対話は、どれだけリアルでも「2次情報」に過ぎません。最終的には必ず現場に足を運び、生身のユーザーから得られる1次情報こそが最も価値があるという原則を、私たちは決して忘れてはいけません。

そのために、私たちは実際に現場へ足を運ぶことを何よりも大切にしています。

実際のお客様の業務に入らせていただいた様子

最後に:私たちの挑戦は、まだ始まったばかりです

改めて、このような素晴らしい機会をいただき、ありがとうございました。私のセッションが、日々プロダクトと向き合う皆さんの活動のヒントに少しでもなれば、これ以上嬉しいことはありません。

私たち自身も、まだまだ挑戦の途中です。今後もAIをはじめとする新しいテクノロジーを積極的に活用し、「挑戦する人々を支える」というミッションの実現に向けて、プロダクト開発を加速させていきたいと考えています。

もし、今回の話に少しでも共感し、「AIを活用した課題発見の未来を一緒に作ってみたい」「UPSIDERでのプロダクト開発に興味がある」と感じていただけたなら、ぜひ一度カジュアルにお話ししませんか?

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