こんにちは。カード事業部でQAを担当しているteraです。
私たちUPSIDERでは、隔週水曜に本番リリースを行っています。 2週間という短いサイクルの中で、どうやって質とスピードを両立させるのか。これは多くのチームに共通する課題ではないでしょうか。
本記事では、スクラムに帯同して上流から関与するQAの取り組みを、リファインメントでの実践やチーム文化への影響を交えて紹介します。 QAを「テスト担当」と捉えるのではなく、チームが早い段階から品質について議論し合えるよう促す“共創のファシリテーター”として捉える視点が、短いスプリントで質とスピードを両立する鍵になると考えています。
短いスプリントリリースにおいてテスト自動化は欠かせませんが、本記事ではそれ以外の取り組みについて紹介します。 自動化の取り組みについては、こちらの記事をご覧ください: PlaywrightとMagicPodの二刀流でリグレッションテストの改善に挑戦
課題提起:2週間スプリントで質とスピードをどう両立するか?
隔週水曜の本番リリース。2週間という短いサイクルの中で開発・レビュー・テストをすべて終え、確実に価値をユーザーに届けなければなりません。
この状況で課題となるのは、どうやって質とスピードを同時に実現するかです。開発が終わってからテストを行う従来型のQA活動では、リリース前に手戻りが発生し、スケジュールや品質に大きなリスクを抱えることになります。だからこそ、下流だけでなく上流からのQA関与が欠かせません。
上流からの関与:仕様の不明確さを解消し、隔週リリースを支える
隔週リリースを安定して続けるには、上流での不確実性を徹底的に減らすことが重要です。 QAは早い段階から関わり、仕様の不明確な点を問い直すことで潜在的なリスクを洗い出します。
過去には決済の多様なケースを十分に考慮できず、リリース後に改修が必要になったこともありました。 スプリント中にこうした運用ケースを検討できていれば、お客様への影響を避けられ、その後に割いた改修時間を新機能の開発に充てることができました。 この経験からも、運用ケースを上流からチームで話し合い検討することの重要性を強く実感しています。
上流で実運用に即したケースを早期に洗い出し、仕様の不明確さを解消することで、スプリント初期から安心できる仕様と実装を積み上げられます。 結果として「隔週水曜に安心してリリースできる」という状態がチームの共通認識となり、スピードを維持しつつ品質を担保できるのです。
スクラム帯同での実践:現場でのエピソード
その一例がリファインメントへの参加です。リファインメントのゴールは、プロダクトバックログアイテムを「開発Ready」の状態にすること。その過程でQAは観点を共有しながら、運用や実際のオペレーションに漏れがないかを確認しています。
ここで大切なのは、QAが一方的にチェックするのではなく、チーム全体で不明確さを解消していく“共創のプロセス”であることです。 QAの問いかけをきっかけに議論が深まり、仕様の段階でリスクを潰し込むことができます。
たとえば、ある制限機能では制限期間として「将来日付を含むデータが使用されるケース」が実際の運用では発生するにもかかわらず、当初の仕様では十分に考慮されていませんでした。 リファインメントの段階でこの運用パターンを確認できたことで、後工程での手戻りやリリース遅延を防ぐことができました。
このように、テスト段階でバグを修正するのではなく、設計段階から品質を組み込むことで、質とスピードの両立を実現しています。
質とスピードを担保する仕組み:Cursorを活用した仕様把握と影響範囲の洗い出し
上流からの関与を軸にしつつ、私たちは質とスピードを両立するために、Cursorを活用しています。
Cursorをプログラミングのためではなく、コードを読み解き、仕様として整理・説明するために用いています。
これにより、コードベースから変更の影響範囲を調査でき、仕様設計やテスト観点の抜けを減らし、短いサイクルでも効率的なレビューとテストが可能になります。
特に、ドキュメントが残っていない既存仕様を理解する際にもCursorは大きな力を発揮します。
AIを活用してコードから関連箇所を素早く抽出・整理できるようになったことで、仕様調整をスムーズに進められるようになりました。
以前は一度持ち帰って調べる必要があったことも、その場で解決できるようになり、質とスピードの両面で大きく貢献しています。
上流から関連する仕様やケースを把握し、リスクを早期に検討できる点で、Cursorは大きな助けになっています。
文化的インパクト:QAは文化を変えるファシリテーター
スクラムに帯同し、開発プロセスの早い段階から関与することで見えてきたのは、QAが単なる「品質の番人」ではないということです。
QAが問いを投げ、観点を共有することでチーム全体の議論が深まり、曖昧さが早い段階で解消されていきます。
これは単に不具合を減らすための仕組みづくりではありません。「品質をみんなでつくる」という文化を根付かせる取り組みです。
QAが関わることで、開発者やPOも「これは本当にユーザーにとって良い体験になるか?」という視点を持ちやすくなり、結果として品質を共通の目線で考えられるようになります。
まとめ:共創を促すQAの役割
QAは、テストを行う存在にとどまりません。上流から関与し、曖昧さを共有し合い、設計段階で品質を組み込む。 これこそが短いサイクルで高品質なリリースを実現するための鍵です。
そして何より重要なのは、QAが共創を促すファシリテーターとしてチーム文化を変えていくことです。
品質を「後から検証するもの」から「最初から一緒につくるもの」へ。
その文化の変化こそ、スクラム帯同でのQA活動がもたらす最大のインパクトだと考えています。
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